家康ゆかりの街 岡崎の神社仏閣巡りと、食のひとやすみ。
愛知県岡崎市。徳川家康公が生まれたこの町には、今もなお家康公にまつわる神社仏閣が点在しています。
このブログでは、そんな岡崎の歴史ある寺社を一つひとつ巡りながら、訪れたあとの“より道”として、和食料理店「魚信(うおのぶ)」もご紹介していきます。
祈りと歴史に触れ、少しだけ立ち止まり、美味しいひとときを味わう。
そんな“心とお腹が整う”旅のおともに、どうぞ。

稲前神社 ─ 実りと暮らしを守り続けた、家康公のふるさとの杜
岡崎市稲熊町に鎮座する稲前神社(いなさきじんじゃ)は、
古くから五穀豊穣・家内安全・商売繁盛を祈る氏神さまとして、地元住民に大切にされてきた神社です。
その歴史は非常に古く、平安時代後期にはすでに社が存在したとも伝えられており、
この稲熊の地を守り、育んできた“根っこの神社”ともいえる存在です。
家康公と稲熊の土地、そして稲前神社
稲熊町は、徳川家康公が誕生した岡崎城の東側に広がる農村地帯であり、
幼少期の竹千代(家康公)は、この土地に流れる田園や里山の風景の中で育まれてきました。
家康公の実母・於大の方(おだいのかた)の実家である水野家も、農耕と武家の両面を持つ家柄で、
「土地を耕し、実りに感謝する文化」に深い理解を持っていたといわれています。
稲前神社が守ってきたのは、まさにその“実りの精神”。
直接の奉納記録などは現存していないものの、
この土地の豊かさと安定が、家康公の誕生と育成の背景にあったことは確かであり、
“家康公のふるさとを根底で支えた神社”として、非常に重要な位置にあります。
境内の見どころとご利益
◉ 稲荷神を祀る本殿
主祭神は宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)。
稲を司る神さまとして、五穀豊穣・商売繁盛・家庭円満などにご利益があるとされています。
朱色の鳥居と拝殿は、稲荷信仰らしい明るい佇まいです。
◉ 地元に支えられる“氏神さま”
春の祭礼や地元子ども会のイベントなど、地域行事の中心として長く親しまれてきました。
町を見守る神さまとして、今も多くの方が訪れています。
◉ 日常の祈りが届く静けさ
観光地化されていないぶん、静かで落ち着いた空気が流れています。
大きな神社にはない「身近な神さま」のやさしさを感じることができます。
アクセス・参拝のヒント
- 名鉄「東岡崎駅」から車で約15分/市バス稲熊線利用も便利
- 駐車場なし(近隣に迷惑のかからない配慮を)
- 拝殿前での参拝は自由。ご祈祷は地域行事で対応
春の新緑、秋の紅葉シーズンに訪れると、神社の雰囲気が一層引き立ちます。
祈りと実りの象徴を、魚信で味わう
稲熊の神社を歩いたあとは、
この土地で育まれた“旬の恵み”を味わいに、**和食処・魚信(うおのぶ)**へ。
魚信の料理は、素材への感謝と手間を惜しまない姿勢が息づいています。
まさに「祈りと実りの食文化」を体現した一膳を、心ゆくまでどうぞ。
本日のおすすめ御膳(例)
- 季節の天ぷら
- 鰻釜めし
- 冷やし鉢
- しらすおろし
- 本にがり豆腐
- 水菓子
農の神に祈り、旬の味で締めくくる。
そんな心豊かな“より道”をぜひ。
さいごに:目には見えない“ふるさとの支え”
稲前神社は、岡崎の華やかな観光地とは違い、
あまり語られることのない“影の支え手”のような存在です。
けれど、ここが守ってきたもの──
農と暮らし、地域の営みこそが、家康公という英雄の“根っこ”を育てたのかもしれません。
そんな場所に立ち、ゆっくりと手を合わせてみてください。
次回は、西の地に祀られた「八柱神社」へ。
家康公の血筋と土地の力を結ぶ、もうひとつの物語をご紹介します。
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